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500年前の「冷凍ジャガイモ」をインカ遺跡で発掘

冷凍食品と聞くと、私たちはスーパーの冷凍庫に並ぶ現代的な食品を思い浮かべます。 しかし、冷凍と乾燥を組み合わせた保存食の知恵は、はるか昔のアンデス世界にも存在していました。 ペルー南部の乾燥した海岸地帯にあるインカの拠点「タンボ・ビエホ」で、約500年前のフリーズドライ(凍結乾燥)ジャガイモが2つ発見されました。 これは「チューニョ」と呼ばれるアンデス伝統の保存食で、寒冷な高地でしか作れないものです。 研究の詳細は、カナダ・カルガリー大学(University of Calgary)により、2026年5月1日付で学術誌『Journal of Field Archaeology』に掲載されました。

深海の幽霊「ゴブリンシャーク」を野生下で初撮影に成功

深海には、存在そのものが都市伝説のように語られてきた生き物がいます。 その代表格が、ゴブリンシャークの英名でも知られる「ミツクリザメ(学名:Mitsukurina owstoni)」です。 長く突き出た吻(ふん)、前方に飛び出すあご、淡く不気味な体色。 その姿は、まるで深海を漂う幽霊のようです。 しかし奇妙な見た目で有名でありながら、私たちはこのサメが自然の海で生きている姿を、ほとんど見たことがありませんでした。 これまで知られていたミツクリザメの多くは、漁具にかかったり、海面まで引き上げられたりした個体だったからです。 今回、米ハワイ大学マノア校(UH Manoa)らの研究チームは、ミツクリザメを自然の深海環境で生きたまま撮影した初の現地観察を報告しました。 研究成果は2026年5月19日付で学術誌『Journal of Fish Biology』に掲載されています。

日本eスポーツ選手の4割以上で「睡眠の質が悪い」と判明

eスポーツは、反応速度や集中力、判断力が勝敗を左右する競技です。 そのため、選手が高いパフォーマンスを維持するには、日々の練習だけでなく、脳の働きを支える「睡眠の質」も重要になります。 筑波大学の研究チームは、日本のeスポーツ選手90人を対象に、睡眠の質やプレイ時間帯との関係を調査しました。 その結果、選手の43.3%が「主観的睡眠の質が悪い」と分類され、特に午前3時〜8時59分の早朝プレイとの関連が示されたのです。 この研究は2026年6月3日付の『SAGE Open』に掲載されました。

AIが10代の少年に「両親の殺害」を促し、精神崩壊させた事件

AIとの会話が、人々を暗黒面に引きずり込んでいます。 2024年9日、米テキサス州にて、15歳の少年がAIチャットボットに「両親の殺害」を唆(そそのか)されていたことが明らかになりました。 少年は半年に及ぶAIとの会話で心身ともに憔悴し、ついには精神崩壊に陥ったとして、ソーシャルメディア被害者法律センター(Social Media Victims Law Center)らがAIチャットボットの運営会社を訴訟する事態にまで発展したのです。 実は同様の問題は2023年にも起こっており、ベルギー人男性が「イライザ」という女性AIとの会話がきっかけで自殺した事件が報告されています。 AIには人々の闇の心を後押ししてしまう側面があり、専門家らは非常に危険視しています。 しかし、なぜ15歳の少年は「両親の殺害」というセンシティブな話題についてAIと話し合っていたのでしょうか?

知能が高い人ほど、「より良い新アイデア」に切り替えやすいと判明

人類の科学技術や文化は、ただ新しいアイデアが生まれるだけで発展してきたわけではありません。 誰かが見つけたより良い方法を、別の誰かが学び、ときに古いやり方から切り替えてきたことが、知識や技術の積み重ねを支えてきたと考えられます。 では、慣れた方法より効率的な新しい方法が示されたとき、それに切り替えやすいのはどんな人なのでしょうか。 西オーストラリア大学(UWA)の研究は、その答えの一つとして「知能の高さ」が関係している可能性を示しています。 研究論文は2026年1月7日付で学術誌『Personality and Individual Differences』にオンライン掲載されました。

「お返し」は”対等な関係”で生じやすいと判明

友人にコーヒーをおごってもらったら、次は自分がおごるべきだと感じる人は多いでしょう。 しかし、その相手が上司や先生、あるいは年上の家族だった場合も、同じように「次にお返ししよう」と考えるのでしょうか。 マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、人々が「親切にされた側が次にお返しする」と考えるのは、主に対等な関係だったと報告しました。 この研究は2026年6月2日付で、学術誌『Open Mind: Discoveries in Cognitive Science』に掲載されました。

日本産「オオサンショウウオの新種化石」を報告、約350万年前

日本から新種のオオサンショウウオ化石が報告されました。 京都大学総合博物館のの研究チームはこのほど、大分県宇佐市の安心院(あじむ)地域にある約350万年前の地層から見つかっていたオオサンショウウオ科の化石を詳しく分析。 その結果、この化石は既知の属や種とは異なる新属新種であることが判明。 新たに「リムノスポンディルス・アジムエンシス」、和名「アジムオオサンショウウオ」と命名されました。 研究成果は2026年6月3日付で国際学術誌『PeerJ』に掲載されています。

ナルシストやサイコパス傾向が高い人の脳に“共通する特徴”を発見

「あの人は自分の話ばかりする」「人の気持ちがわからない」――日常では、そんな相手を「ナルシストっぽい」「サイコパスっぽい」と言ったりすることがあります。 心理学では、実際これらは共通した反社会的な傾向を含む性格特性として研究されており、ナルシシズムは自分を特別視しやすい傾向、マキャベリズムは目的のために他人を操作しようとする傾向、サイコパシーは冷淡さや衝動性、罪悪感の薄さなどに関わる傾向があるとされています。 そして、これら3つの性格特性はいずれも「他者への冷淡さ」や「自分の利益・評価を優先しやすい」といった共通の反社会的な傾向を含むため、合わせて「ダークトライアド(Dark Triad:暗い性格特性)」と呼ばれます。 ただ、この3つはどこまで共通するのか、また脳構造の面でも共通点と違いが見られるのかは、まだ十分に分かっていません。 そこでドイツ・ハイデルベルク大学(University…

Tレックスの口臭は「どんな匂い」だったのか

もし目の前にティラノサウルス・レックスが現れたら、私たちはその巨大な体や鋭い歯に圧倒されるでしょう。 しかし、本当に顔を近づけられたとき、最初に感じるのは恐怖だけではなかったかもしれません。 そこには、強烈な「口臭」もあった可能性があります。 シカゴのフィールド博物館では、Tレックスの有名な化石「スー」の展示をよりリアルにするため、恐竜が生きていた時代の匂いを再現する試みが行われました。 その中には、スーの吐く息をイメージした匂いも含まれていました。 では、Tレックスの息はどんな匂いだったのでしょうか。 答えはかなり単純で、かなり不快なものです。

エサを探すペンギンは「まず自分で考え」「失敗したら仲間の情報に頼る」と判明

うまくいかなかったときほど、自分の考えに固執してしまうことがあります。 しかし本当に大切なのは、まず自分の経験を信じつつ、失敗したときには他者の経験にも目を向ける柔軟さなのかもしれません。 総合研究大学院大学と国立極地研究所のチームは、南極のアデリーペンギンをGPSなどで追跡し、採餌に失敗した個体ほど、次の採餌で同じタイミングで出発した仲間が過去に使った餌場の情報を手がかりにしている可能性を明らかにしました。 研究成果は2026年6月10日付で『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されています。

地中に張り巡らされた「菌糸ネットワーク」の世界地図を初めて作成

私たちが何気なく歩いている地面の下には、目には見えない巨大な「生きたインフラ」が広がっています。 それは植物の根と結びつき、水や栄養を運ぶ「菌類のネットワーク」です。 今回、地下ネットワーク保護協会(SPUN)らの国際研究チームは、土壌中に広がる「アーバスキュラー菌根菌(AM菌)」のネットワークを、世界規模で初めて地図化しました。 その推定によると、地球の表土上部15センチメートルには、合計で約110京キロメートルものAM菌糸ネットワークが存在するといいます。 これは地球から太陽までの距離を7億回以上もたどれるほどの長さだといいます。 研究成果は2026年6月11日付で科学雑誌『Science』に掲載されました。

全長4.4ミリの「極小手術ロボット」を開発、5つの機能あり【動画】

まるで体内を進む「小さな万能ナイフ」のような手術ロボットが開発されました。 シンガポールの南洋理工大学(NTU)の研究チームは、全長わずか4.4mmのロボットに、移動、切断、薬剤放出、組織採取、局所加熱という5つの機能を持たせることに成功しました。 このロボットは外部の弱い磁場で遠隔操作され、機能の切り替えは1秒未満で行えるといいます。 まだ実用化前の実験段階ですが、体を大きく切らずに診断や治療を行う未来の医療につながるかもしれません。 研究成果は2026年5月15日付で学術誌『Advanced Materials』に掲載されました。

「新種の深海生物」31種をブラジル沖で発見

ブラジル沖の海で、まるで別の惑星から来たような生き物たちが次々と見つかりました。 米シュミット海洋研究所(SOI)の調査船「Falkor (too)」に乗り込んだ国際研究チームは、熱帯南大西洋のブラジル沖で行った2週間の探査により、31種の新たな海洋生物を確認したと報告。 舞台となったのは、太陽光が届く海面近くと海底のあいだに広がる「中層水域」です。 ここは地球上で最大の生息域でありながら、暗く、広大で、調査が難しいため、まだ多くが謎に包まれています。 今回の発見が特に注目されるのは、単に新種が多く見つかったからではありません。 研究チームは、最新の撮影技術やゲノム解析を組み合わせることで、通常なら何年、場合によっては何十年もかかる新種確認を、わずか数日のうちに進めることに成功したのです。 ※ 今回、発見された新種生物たちの画像一覧はこちらのURLからご覧いただけます。

セックスが始まるまで動物の進化は「ほぼ停滞」していた――楽園の罠

イギリスのケンブリッジ大学(University of Cambridge)で行われた研究によって、初期の動物たちが数千万年ものあいだ多様化を止めていた原因が、「セックスをほとんどしていなかったから」である可能性が示されました。 約5億7400万年前、カンブリア爆発以前の海底に暮らしていた動物たちは、セックス(有性生殖)をほとんど行わずクローンとして増えており、さらに親と子は細い糸でつながったまま栄養を分け合い、仲間同士で競い合う必要がない世界であったと考えられています。 しかし競争がなければ、自然選択のエンジンは回りにくくなります。 こうして新しい種はほとんど生まれず、多様化は約1600万~2600万年もの間、ほぼ停滞状態に置かれていたと考えられます。 筆頭著者のエミリー・ミッチェル博士は「エディアカラ紀の生活はかなり快適でした。だからセックスをする必要も特になかったんです」と述べてい…

日々の幸福感が高まりやすくなる「5つの行動」

いつも明るく、ちょっとした出来事にも笑顔で反応できる人がいます。 物事が思い通りに進まなくても、「まあ、こういうこともある」と前向きに受け止められる人を見ると、生まれつきの性格なのだろうと思うかもしれません。 心理学では、このように喜び、熱意、興奮といったポジティブな感情を経験しやすい傾向を「ポジティブ感情傾向」と呼びます。 かつては、こうした性格傾向はかなり固定されたものだと考えられていました。 しかしポジティブ心理学の研究は、幸福感が完全に生まれつき決まっているわけではなく、日々の行動によって育てられる可能性を示しています。 では、私たちはどんな行動によって、より幸せを感じやすい状態に近づけるのでしょうか。

人間は「反時計回りに歩く」のを好む、研究で判明

何も考えずに街中や百貨店を歩き回るとしたら、あなたは右回りと左回りのどちらに進むでしょうか。 一見すると、そんなものは気分次第に思えます。 しかし新たな研究によると、人間は自由に歩き回るとき、平均的には「反時計回りに動きやすい傾向」があるようです。 スペイン・ナバーラ大学(University of Navarra)らの研究チームは、スペインと日本で歩行者の動きを調べる実験を行いました。 その結果、人々は単独でも集団でも、時計回りより反時計回りに曲がりやすいことが示されたのです。 研究成果は2026年6月10日付で科学誌『Nature Communications』に掲載されています。

覚醒した脳の一部で「睡眠の回復効果」を誘発することに成功

イルカは、脳の片側だけを眠らせながら泳ぎ続けることができます。 片方の脳で休息を取り、もう片方の脳で周囲を警戒する。 私たち人間から見ると、まるで「半分だけ眠る」という不思議な能力です。 では、睡眠の効果は本当に脳全体が眠らなければ起こらないのでしょうか。 米国ウィスコンシン大学マディソン校(UW–Madison)の研究チームは、覚醒中のマウスの脳の一部に、ノンレム睡眠に似た神経活動を人工的に起こし、睡眠中に見られる回復作用に近い変化を誘発することに成功しました。 研究の詳細は、2026年6月8日付で科学誌『Nature Neuroscience』に掲載されています。

「アマゾンの幽霊犬」を固定カメラで撮影に成功

アマゾンの奥地には、人前にほとんど姿を現さない犬が潜んでいます。 その様子から“幽霊犬(ghost dog)”と呼ばれる犬の正体は、「コミミイヌ(学名:Atelocynus microtis)」というイヌ科動物です。 小さく丸い耳、短い脚、ふさふさした長い尾、そして部分的に水かきのある足を持つこの動物は、鋭い聴覚と嗅覚によって人間を巧みに避けるため、長年にわたり詳しい生態がほとんどわかっていませんでした。 しかし今回、アメリカ・野生生物保全協会(WCS)などの研究チームは、約25年にわたる固定カメラ調査によって、アマゾンの“幽霊犬”の姿と暮らしぶりを大量に記録することに成功しました。 研究成果は2026年5月27日付で学術誌『Neotropical Biology and Conservation』に掲載されています。

多細胞生物の起源は「遺伝子」より「物理」だった――「非対称開始仮説」が提唱

アメリカのカリフォルニア工科大学(Caltech)とユタ大学の研究者らが発表した論文によって、単細胞から多細胞へ生物が進化したキッカケとして「単純な物理」が働いたとする新仮説「非対称開始仮説」が提唱されました。 この仮説が正しければ、「単細胞があつまって多細胞生物になった」という話や「生き物の設計図はすべてDNAに書いてある」というよく聞く話に「物理」という思ってもみなかった要素が入り込むことになります。 著者らも生物の体の自己組織化は「生物学的複雑性の副産物ではなく、物理的な不可避性から生じる基本原理である」と述べています。 一見すると、あり得なさそうな珍説に思えますが、古細菌の実験結果をはじめ、複数の研究から得られた証拠がこの見方を支持しています。 研究内容の詳細は2026年6月1日、一流の学術誌として知られる『Nature Biotechnology』にて発表されました。

美容整形に乗り気になりやすい「性格特性」が明らかに

「もっときれいになりたい」「外見を変えれば、自分に自信が持てるかもしれない」 美容整形に対する考え方は、ここ数年で大きく変わってきました。 かつては特別な選択肢と見なされがちだった美容整形も、SNSや美容医療の普及によって、若い世代にとっても身近な自己改善の手段になりつつあります。 では、どのような人が美容整形に前向きになりやすいのでしょうか。 イラク・ソラン大学(Soran University)の研究チームは、大学生を対象に「性格特性」と「美容整形への受容度」の関係を調査。 その結果、ナルシシズムなどの「ダークトライアド」と呼ばれる性格特性が高い人ほど、美容整形を受け入れやすい傾向があることが示されました。 ただしこれは、「美容整形をしたい人はナルシストだ」という単純な話ではありません。 研究が示しているのは、外見を変えたいという気持ちの背後に、自己イメージや他者からの評価をめぐる心…

500万年続く「史上最大のクジラ墓場」を発見ーー1200kmにわたり約500頭の死骸

インド洋の深海に、まるで「死者の都市」のような場所が見つかりました。 そこに広がっていたのは、クジラの死骸や化石が約1200kmにわたって連なる巨大なクジラの墓場だったのです。 中国科学アカデミー(CAS)らの国際研究チームは、インド洋南東部のディアマンティナ断裂帯を有人潜水艇で調査し、5つの比較的新しいクジラの死骸と、476個体分の化石化したクジラ遺骸を確認。 中には約530万年前にさかのぼる化石も含まれており、この場所では少なくとも数百万年にわたって、クジラの死骸が海底に蓄積し続けてきた可能性があります。 研究成果は2026年6月10日付で科学誌『Nature』に掲載されました。

チンパンジーも「不公平な扱いを嫌う」と判明、親しい仲間との間で顕著

同じ仕事をしたのに、自分だけ報酬が少ない場面に出くわしたら、多くの人は「それは不公平だ」と感じるはずです。 アメリカ・ジョージア州立大学(GSU)などの研究チームは今回、チンパンジーの群れ全体が自由に参加できる実験を行い、彼らが不公平な報酬にどう反応するかを調べました。 その結果、チンパンジーは自分だけ低価値の食べ物を受け取り、他の個体が高価値の食べ物を受け取ると、報酬を拒否しやすくなることが分かりました。 研究の詳細は、2026年5月20日付で『Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載されています。

サッカーW杯の観戦には「心の健康メリット」がある

サッカーW杯のような大きなスポーツイベントは、見る人の心を大きく揺さぶります。 勝てば飛び上がるほど嬉しくなり、負ければ何日も引きずるほど落ち込むこともあります。 では、こうしたスポーツ観戦は、私たちの心にとって良いものなのでしょうか。 英アングリア・ラスキン大学(Anglia Ruskin University)の研究チームは2023年に、スポーツのライブ観戦と主観的幸福感、孤独感の関係を調査。 その結果、過去1年以内にスポーツのライブイベントへ参加した人は、参加していない人よりも生活満足度が高く、人生に価値を感じやすく、孤独感が低い傾向があると示されたのです。

3Dプリンタから“製本済み”で現れる、まったく新しい本「Manual」

本といえば、紙に文字を印刷し、ページを重ね、最後に綴じて完成するものです。 しかし、Studio Darius OuとBenson Chongが開発した「Manual」は、その工程を根本からひっくり返します。 この本は、ページも綴じ目も浮き出し文字も、すべて3Dプリンタによって一度に作られ、プリントベッドの上に“製本済み”の状態で現れます。 しかもページには、この本自身を作るために使われたG-codeの一部が、浮き出し文字として刻まれているのです。

世界で最も希少な「幻のキツネ」の撮影に初成功

メキシコ・ユカタン半島の東に浮かぶ「コスメル島」。 この島には長年「本当にまだ生きているのか」と疑われてきた小さなキツネがいます。 その名は「コスメル・ドワーフ・フォックス(Cozumel Dwarf Fox)」です。 かつてマヤ遺跡からは、このキツネとみられる小さな骨が見つかっていました。 しかし、生きた姿を示す確かな写真はなく、最後の間接的な目撃情報も2001年にまでさかのぼります。 ところが2023年9月14日、ついに成体オスの姿が撮影されたのです。 米ロード・アイランド大学(URI)らの研究チームはこれをコスメル・ドワーフ・フォックスの初の写真記録として報告しています。 世界でもっとも希少なイヌ科動物の1つは、まだ島のどこかで静かに生きていたのです。 研究の詳細は2026年5月4日付で学術誌『Neotropical Biology and Conservation』に掲載されまし…

宿主の体内で寄生虫が抗体を分泌――“生きた薬工場”への改変に成功

寄生虫と聞くと、普通は「体に害を与える厄介者」を思い浮かべます。 しかし米セントルイス・ワシントン大学(WashU)の研究チームは、腸に寄生する鉤虫を遺伝子改変し、動物実験で毒素を中和する抗体を作らせることに成功しました。 将来的には、遺伝子改変鉤虫を、体内で薬を作り続ける“生きた薬工場”として利用できるかもしれません。 この研究成果は、2026年6月3日付で科学誌『Nature Communications』に掲載されています。

幻覚キノコでアルツハイマー患者の認知機能が一時的に回復

アルツハイマー病が進行すると、会話や記憶、歩行、排泄のコントロールなど、生活に必要な機能が少しずつ失われていきます。 ところが今回、アルツハイマー病をわずらう80代の女性患者が、シロシビン(幻覚成分)を含むキノコを摂取した後、数時間にわたって自分の人生を語り、家族を認識し、笑顔や会話を取り戻すという症例が報告されました。 研究を報告したのは、ブラジルのアソシアソン・クルス・デ・アンク(Associação Cruz de Ankh)に所属する医学研究チームです。 ただし、これは1人の患者を観察した症例報告であり、シロシビンがアルツハイマー病の普遍的な治療薬になると示した段階ではありません。 それでもこの症例は、進行した神経変性の中でも、脳の中に「まだ使える機能」が残っている可能性を示すものとして注目されています。 研究の詳細は2026年5月28日付で科学誌『Frontiers in Ne…

人類の祖先が179万年前に「火をつかった痕跡」を発見

人類の歴史を大きく変えた道具の1つが「火」です。 火は夜の闇を照らし、寒さをしのがせ、猛獣を遠ざけ、やがて食べ物を調理する力にもなりました。 では、私たちの祖先はいつから火を扱っていたのでしょうか。 この問いに新たな手がかりを与える発見が、南アフリカのワンダーワーク洞窟で報告されました。 スペイン・科学研究高等評議会(CSIC)らの研究チームは、約107万年前から最大で約179万年前にさかのぼる地層から、火で焼けたとみられる小型哺乳類の骨を発見したのです。 これはヒト族が火を使っていたことを示す最古級の証拠となる可能性があります。 研究成果は2026年6月1日付で学術誌『PLOS One』に掲載されました。

欧州人の「虫嫌い」、ただの文化ではなく9000年の進化史に隠れていた

スペインの進化生物学研究所(IBE)で行われた研究によって、ヨーロッパ人の”虫嫌い”は単なる文化だけが原因ではなく、少なくとも9000年にわたる進化の歴史にも根ざしていた可能性が示されました。 研究では古代人の歯だけでなく昆虫の殻を消化するための遺伝子も解析されており、赤道から離れたヨーロッパの人々は進化の過程でその能力を失っている可能性が示されました。 研究者は論文において、昆虫を消化する能力を失うことが文化的・宗教的動機を超えて「昆虫食の嫌悪を強める方向に寄与」した可能性があると述べています。 研究内容の詳細は2026年6月5日に『Science Advances』にて発表されました。

ヒトの始まりに「古代ウイルスの声」が必要だったと判明

中国の浙江大学(ZJU)を中心とする研究チームによって、受精卵が初めて自分自身の遺伝子を起動する瞬間に、太古のウイルスの残骸が欠かせない役割を果たしていたことが明らかになりました。 研究では、このウイルス配列の働きを実験で止めると、胚が正常に育つ割合は47%からわずか16%にまで激減することも示されています。 しかし、なぜヒト受精卵は最も重要な瞬間を、古代ウイルスに頼っていたのでしょうか? 研究内容の詳細は『Science』にて発表されました。

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